A:コンピュータがここまで発達しているのに、陋習に囚われた「紙と鉛筆」脳の教師ばかりだから*1
解説
高校までの数学や理科の勉強で「分母の有理化」をやらせるけれども、有理化する理由は
「筆算で」「有効数字3~4桁程度までの値から」「同じく有効数字3~4桁程度までの値を」求める場合に、丸め誤差*2、桁落ち*3による誤差を最小限に抑えるためには、除算の操作で除数がなるべく少ない桁の整数である方が圧倒的にベターだから*4ということをきちんと書いている教科書、受験参考書は全くない…多分。知らんけど…。
つまり「有効数字3~4桁程度」の「筆算」という前提が崩れたら、有理化をする意味はとてもとてもとても希薄になると思う。関数電卓やスプレッドシート(Microsoft Excel や Google Docs のスプレッドシート)で力任せに計算して問題が無いし*5、でいいじゃない。
しかし、残念ながら日本の高校生の諸君は、大学側が計算の能力、技巧に関して「紙と鉛筆」以外の選抜手段を持たないので、これからも有理化の練習をさせられ続けるであろう。
主張
「筆算で」「90分程度以内で解ける」ような問題しか出せない「受験数学」「受験理科」への対応にチューニングをかけた授業や、その延長のような(まるで「数学IV」とでも呼びたくなるような)大学教養程度の教科書や授業では、この視点はおそらく出てこない。
*1:この辺のメンタリティは、いわゆる「神エクセル」に通じるものがあると思える。この合理的思考の欠如は「プログラマ」や「AI技術者」を量産できるような体制ではないことを示していると思える。
*2:Round-off error - Wikipedia 日本語版は無い。
*3:Loss of significance - Wikipedia 日本語版は無い。
*4:複素数の分母の実数化はこれとは異なる。複素数z=x+iyは2次元のベクトルだから、分数のままでは不明瞭なx座標とy座標の値を出すという役割がある。
*5:これに関連して、むかしむかし有効数字をスプレッドシートで求める方法を書いた:有効数字の求め方の例題:パチンコ玉の直径をノギスで1回だけ測って体積を求める - あらきけいすけの雑記帳